yamamoto-ms co., ltd.
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B-52-TIB ハルセル技術資料集
前処理から数種めっき液での実例も写真付で掲載しています。
A4版フルカラー52p
ハルセル試験について
弊社では長年ハルセル® を販売しており、 皆様にご愛用していただいてます。
ここでは、ハルセル試験方法について簡単にご説明します。
1. ハルセル試験(ハルセルテスト)とは
ハルセル試験とはR.O.Hull博士によって発案された試験方法で、 台形型水槽を使用することで 連続した広範囲の電流密度での析出状態を観察することができます。また、 試験条件を変えることで電流密度との関係が簡単に読み取ることができます。

ハルセル試験


これは、陰極部分が斜めになっていることで陽極との極間距離の差ができ、そのため 高電流密度から低電流密度まで測定することができるのです。



この水槽を使用した試験をハルセル試験(ハルセルテスト)といいます。

2. ハルセル試験で何が分かる?
 めっきをするにあたって、製品性能を維持するには浴の管理が大変重要です。
しかしながら、めっき浴は作業と共に、刻一刻と変化しています。 そのため、めっき浴に対し様々な試験を行い、常に管理していかねばなりません。
めっき浴への試験方法としましては、 化学分析や物理化学試験(pHや比重等)などで定量的に管理する方法と、 ハルセル試験・ハーリング試験など電着試験によって定性的に管理する方法があります。 その中でもハルセル試験は、簡単に浴状態を観察することができ、 特に事前に標準サンプルを作製することで、浴トラブル発生の予測をすることが可能です。

3. 実際に試験を行うには?
 ハルセル試験は、測定するめっき浴によって試験条件が決まります。
以下に試験条件の一例を示します。

めっき液陰極陽極全電流(A)時間(分)温度(℃)攪拌備考
シアン化銅無酸素銅(電気銅)25~10~60無・空気PRを行うこともある
硫酸銅黄銅含りん銅2~35~10R.T空気
ピロリン酸銅黄銅・鉄無酸素銅(電気銅)2550~60空気
ニッケル黄銅電解ニッケル2~35~1040~60
ニッケル黄銅電解ニッケル0.5~1540~60空気金属不純物の有無
スルファミン酸ニッケル黄銅SKニッケル0.5~1540~60空気
クロム黄銅錫5%入鉛5340~50裏面観察による塩化物混入の有無
クロムNiめっき錫5%入鉛10140~50
塩化亜鉛亜鉛25R.T.
酸性スズ鉄・銅2518~20カソードロック

(参考文献:現場技術者のための実用めっき(Ⅱ) 日本プレーティング協会編 槇書店)


 このように、めっき浴によって加温条件や攪拌条件なども変わるため、弊社ではハルセル水槽もこれに合わせて 様々な種類があります。用途に合わせてお選びください。(表示以外にもございます。詳しくはこちらのページをご覧下さい)

商品番号商品名概観特徴
B-53ハルセル®(加温型水槽)加温型ヒーターによる加温と空気攪拌が可能です。
B-53-Lハルセル®(加温型水槽ロングタイプ)加温型ロングB-55-Lと同様の横長タイプで、ヒーターによる加温と空気攪拌が可能です。
B-53-SMスマートハルセル®(500ml)スマートセル型ヒーターによる加温と空気攪拌はもちろん、オーバーフローによる攪拌が可能であるため、空気攪拌の行えないめっきにも対応が可能です。複合めっきにも対応。
B-54ハルセル®(空気カクハン型水槽)空気カクハン型空気攪拌が可能です。
B-54-Lハルセル®(空気カクハン型水槽ロングタイプ)空気カクハン型ロングB-55-Lと同様の横長タイプで、空気攪拌が可能です。
B-54-Hてのりハルセル®(空気カクハン型)てのりハルセル通常より少ない液量で試験できます(33ml)。
貴金属めっき用。
B-55ハルセル®(並型水槽)並型半田、錫めっき用
B-55-Gハルセル®(並型ガラス製水槽)並型ガラスB-55と同型でガラス製。恒温槽(湯煎)による加温が可能です。
B-55-Lハルセル®(並型水槽ロングタイプ)430ml並型ロング通常のハルセルより陰極側を横に長くすることで、電流密度による差をより詳細に観察することが可能です。合金めっきなどに対応。
B-56ハルセル®(クロム用水槽)1L クロム用クロムめっき用。激しい温度上昇を防ぐため、1L角型水槽に穴あきハルセルを固定しています。(塩化ビニール製)


4. ハルセル試験をしてみよう
ハルセル実験

実験は以下の手順でおこなってください。

1)条件(陽極の種類、陰極の種類、浴温度、攪拌条件など)を確認し装置を設置する
上記3項で示した条件を元に準備をしてください。 
2)試験片(陰極板)の前処理を行う
弊社では様々な金属板を試験片として用意しておりますが、ほとんどのものに
  表面を保護する意味で半透明または青いフィルムを試験片に貼り付けています。
   試験をする際はそのフィルムをはがし、その面がめっき面になる様にお使いください。
その際、フィルムの接着剤が試験片に残る場合もありますので、脱脂処理は十分におこなってください。

SUS板
フィルムを剥がしてからお使いください

3)陽極・陰極は正しく設置されているかを確認したのち、めっきを行う
陰極板(試験片)が斜めに設置されていることが多々あります。
しっかりと試験片をセルの壁につけるように設置してください。

陰極設置
写真のように陰極板が浮いてしまうと正しい評価ができません


次に試験後の評価方法ですが、めっきを行うと以下のような状態の試験片が得られます。

例) 光沢スズめっき
←高  電流密度  低→
陰極板-標準
標準液
陰極板-光沢剤多
光沢剤過少液


写真左側が陽極に近いため左側が高電流部、右側が低電流部となります。 左側のやや黒味がかって見える部分は「ヤケ」と呼ばれ、皮膜が焦げたような状態になっており、 実際の商品などには使えない部分です。
上の標準液と比べ光沢剤(添加剤)が少ない液では、全体的な光沢状態や 低電流部側の未析出などの違いが見られます。

*前記したように試験片の前処理(脱脂処理)が 適切に行われていない場合では、同様に低電流部の未析出やピットが発生する可能性があるため、 前処理が不十分だったのか浴組成が変化しているのかが 分からなくなってしまいます。 そのためにも前処置は十分行ってください。


また、得られた試験片に 「B-61ハルセル®電流密度早見板」をあてることで簡単に電流密度での変化を 観察することができます。

早見板1


このように試験片に早見板をあわせます。
電流密度分布は全電流値によって変わるので、実際に流した電流値のスケールを用います。 外観は観察する位置によって変わるため、毎回同じ部分を観察できるように早見板の開口部を利用します。 この部分の状態と数値を見比べ検討を行います。

早見表2

例えばこの実験は全電流5A で行ったものなので、 左側から1cmの場所は電流密度25A/dm2となり、 この試験片の場合では電流密度25A/dm2以上ではヤケが生じることが分かります。

また、この早見板の数値はR.O.Hull関係式およびドイツ規格(DIN50957)を参考に以下の式から算出しています。

C.D =I・(5.10-5.24・logL)
C.D:電流密度(A/dm2)
I:総電流(A)
L:高電流側から測った陰極上の距離(cm)



こちらでは基本的なハルセル試験についてご説明いたしました。
この他、ハルセル試験についてのご相談がございましたら
「お問い合わせページ」からご連絡ください。


※「ハルセル」は弊社の商標登録商品です。
商標登録第1294468号(10類・理化器関係)/商標登録第1278949号(11類・電気器関係)
本文中では(R)マークは省略させていただきました。

当社社長とHarry Hull氏 (SUR/FIN2017会場にて)

      

R.O.Hull博士のご子息であるHarry氏から当社ハルセルの品質は"世界一"とお褒めの言葉を頂くと共に、ハルセルの技術拡散および長年の販売に対し喜んで頂きました